「ままごと」から「ほんもの」包丁の体験を

みなさんは子どもに初めて包丁を使わせたのはいつ頃でしょうか。

私は長女(現在小学校2年生)に子ども用の包丁を買って、一緒にまな板に向かったのは、3歳になるかならないかというときだったと思います。

きっかけは、その時期、マグネットでくっついている切れ目におもちゃの包丁を入れる野菜のおままごと玩具にはまっていたことと、早く炊事の戦力になってくれることを期待して…でした。

 

それから現在に至るまで、そのとき買った「ミッフィーの包丁」は、長女、長男(現在5歳)によって、週に1回くらいのペースでキッチンに登場しております。現在2歳の次女も前掲の玩具を使いだした今日この頃ですので、近々包丁デビューの日が来るものと思っています。

 

切る材料は、きゅうりが9割くらい(だじゃれではありません)、次いで大根、人参、野菜以外ではハム、ちくわ、かまぼこなどがメインとなります。茹でた青菜をお浸しにする前に切り分けてもらうことも。これは茎のあたりがやや上級者向けです。

 

子どもたちは自分が切った食材は間違いなく喜んで食べます。どんなにいびつでも気にならず、むしろそこが気に入っている感もして、おいしさ百倍といった感じです。親もこういうときはお約束の「ひたすらほめる」で持ち上げます。

 

「○○ちゃんの切ってくれたきゅうりのお漬物、大きさがちょうどいいから食べやすいね!」「○○くんの切った人参が入ってるお味噌汁、いつもよりおいいしい!」

 

これが「食育」になっているのかどうか私にはわかりませんが、子どもにとって包丁を使う、そうして自分で切った食材を家族と食べるという一連の出来事が、相当に楽しいことであるのは確かだと感じます。そして子ども時代の「楽しい」思い出の中に、キッチンやまな板や包丁が入っているのは、少なくとも悪いことではありません。

 

ふと考えてみますと、食材に包丁を入れるという行為は、その食べ物の原型を初めて壊すという行為であり、神聖な一面もあるように思います。もしかすると野菜に包丁を入れるのは家畜を屠殺する瞬間と同等とも言えるかもしれません。 

 

もちろん、小さな子どもたちがそのような意識を持って包丁を握ることはないでしょう。でもいつか、きゅうりや大根に包丁を入れる楽しさが、感謝の気持ちにつながっていくことを願う気持ちもあります。残念ながら当初期待していた料理の能力向上はそれほど進んではいませんが、「ボチボチ」のペースで包丁を持たせていきたいなと考えています。

 

「キッチンでママのまねをしたがっている」「おままごとでお料理するのが大好き」、だけど「包丁は危なっかしいし自分も面倒くさそう…」と迷っている保護者のみなさん、ぜひ、包丁を持たせてみましょう。子ども用包丁は先が丸くなっていますし、サイズ・重さ等も子どもに持ちやすい・安全性が高いという観点で設計されています。さらに子どもたちには「おもちゃじゃないよ、本当に手が切れちゃうものだよ」としっかり言い聞かせて本物の包丁を持たせると、意外に慎重に扱うものです。わが家では、これまで横で見ていて危ないと思われる瞬間や切り傷を作ったことはありませんでした。 

 

「面倒」という点については、子どもが包丁を使っている間は自分の作業は一時停止になるのですが、きゅうり1本を輪切りにする程度だったら、3分もかかるかどうかです。それで子どもは十分満足するし、それ以上は集中力も持ちません。頻度も、1週間に1回か2回ぐらいが適当なようです。今度のお休みにでもぜひ、料理用具売り場で、子ども用の包丁を探してみてください。

レシピ

ジャガイモもち

 子どものころ、祖母がよく作ってくれた「簡単おかず」です。温かいうちに食べると、もちもちとしておいしいです。

 

材料

 じゃがいも……………中 3個    

 片栗粉・小麦粉………併せて2/3カップ

  ※すりおろしたじゃがいもの半分程度

 塩・こしょう…………適量

作り方

 じゃがいもをすりおろし、片栗粉・小麦粉、塩、こしょうを入れて全体がもったりと

する程度になるまで混ぜる。

 フライパンに油を熱し、をスプーンかおたまですくって厚さ2~3ミリ程度の丸い

形にのばす。 

 弱めの中火で30秒~1分ほどで焼き色がついてくるので、ひっくり返してさらに同

じくらい焼く。

 お皿に並べて、ケチャップやしょうゆなどをかけて食べる。

◦生地に、冷凍野菜ミックスやひじき、ちりめんじゃこ等を混ぜてもおいしいです。

 写真はミックスベジタブルを入れて作ったものです。

◦ひっくり返した後、上にチーズを載せて蓋をする、あるいは焼きあがった後粉チーズを

ふりかけるのもおすすめです。

*児童育成協会「こどもの栄養」に会員が交代で執筆した連載を再掲載しています。