保育園の調理師さんは育児の強い味方!

 我が家の長男は、妊娠8か月目におよそ1600gの低出生体重児として誕生したため、出産後すぐに保育器に入り、NICUで入院生活を過ごすことになった。満期出産の子どもの場合、生まれてすぐでも母親のおっぱいに吸いつくけれど、小さく生まれた子どもたちの場合、もちろんそんな力はないので、鼻から胃まで管を通して、そこから栄養を送りこんでいく。その量も当初はミルク1ccからと、まさにスポイトで1滴、2滴からのスタートだった。

 よく、赤ちゃんが母乳を飲んでいるときに、汗をびっしょりとかいていることがあるが、小さな身体にとって母乳を自力で飲むというのは、なかなかの重労働だと聞く。ところが小さく生まれた子どもたちは、いわば“ラクして飲む”ことを経験してしまっているので、中には成長後も一生懸命におっぱいを吸う努力をしない子も出てくる。実は我が家がまさにそのタイプで、あまり力を入れなくても飲めるタイプの哺乳瓶しか受け付けないし、量もあまり多く飲むことはなかった。

 その影響なのか、はたまた持って生まれた個性だったのか、我が家の場合離乳食が始まっても、普通食に移行しても、まともに食事を食べなかった。というよりもそもそも食べること自体に関心が向かない様子で、まさに“霞を食べて生きている”という表現がぴったりで、これでよく元気に生きているものだとたびたび感心させられたほどだ。育児雑誌などではよく“食べない子対策”といった特集が組まれ、親たちは実際に食べた量などを紹介しながら、いかにわが子が食べてくれないか悩みを訴えるのだが、我が家から見ればそんな食べない子たちでさえ、“大食漢”に見えるほどだった。

 深刻に受け止めれば大きな育児ストレスとなったかもしれないが、実は私自身は、それほど深く悩むことはなかった。人生のスタートが“ミルク1cc”からだったこともあるが、なにより周囲の人々、とりわけ保育園の職員の方の理解があったからだったように思う。中でも一番心強い存在だったのか、給食の調理職員の方々だった。降園時に子どもが調理室まで挨拶に行っていたのだが、そんなときにも食べる量やこんなメニューがいいといったことまで本当に多くのアドバイスをいただき、そのことが私にとって大きな“心の栄養”だったと今でも感謝している。

 そんな少食くんのメニューは、少量でも比較的多くの食材が食べられることがとても大切になってくる。そこで我が家で当時よく作ったメニューが“スパゲッティー・ミートソース”だ。たんぱく質と炭水化物がとれるだけではなく、ニンジンやピーマンといった緑黄色野菜も多めに入れて作れば、1食でそこそこの栄養がとれるので、「まあ今日はこれで良し!」と考えるようにしていた。

 月日は流れ今、この“少食くん”は毎日のジム通いと自らの徹底した栄養管理で“筋肉くん”とその名を変えている。そして親子で“カルボナーラ探検隊”と称して、本場まで足を伸ばしておいしいパスタを食べ歩いている。その原点は、食べない子どものために苦肉の策として作ったあの日のミートソースにあるのかもしれない。 

作り方

<パスタ>

 深めの寸胴鍋にたっぷりの水を入れて沸騰させる。

  沸騰したら塩を入れる。多少多めに入れるとパスタにほどよい塩味がつく。

  鍋にパスタを入れる。もし深めの寸胴鍋がない場合や、子どもの年齢が低い場合には、パスタを半分に折って入れるとゆで具合が均一になり、食べやすい。

 ゆで上がったら十分に水気を切る。 

<ミートソース>

  ニンジン、ピーマン、玉ねぎを適当な大きさに切り、フードプロセッサーでみじん切りにする。子どもの月齢が低い場合や野菜嫌いの場合には、口にいれたときに野菜の食感が感じられないくらい細かくするとより食べやすい。

 ひき肉とみじん切りにした野菜を塩、こしょうで簡単に味を調えて炒める。

 ひき肉に火が通ったら、トマトの水煮缶を入れて混ぜ合わせる。

 水煮缶の空き缶に水を入れてコンソメと一緒に入れてしばらく煮込む(20分程度)。

  水分がとんで表面に“カニの穴”が出てきたらケチャップ、ウスターソース、塩、こしょうで味を調え、さらに10分程度弱火でかき混ぜながら煮込む。

  ゆでておいたパスタの上にソースをかけ、好みでパルメザンチーズを振りかけて完成。

*児童育成協会「こどもの栄養」に会員が交代で執筆した連載を再掲載しています。