「お弁当作り」は親子の「思い出作り」

長男が小学校に入った夏休みから本格的なお弁当作りが始まりました。

毎日のお弁当作りのネタ探しをしていたところ、ある本で見つけたレシピが、「醤油と味醂の1対1の漬け汁に、しっかり焼き付けた鶏肉を漬け込んでおき、翌朝温める。豚肉でも美味しい」というシンプルなおかずでした。

そのレシピは「レンジでチン!」という簡単な方法が紹介されていましたが、毎日を目一杯で過ごしていた当時の私には「事前に漬けるという時間も調理してくれる」という事に気付き「目からウロコ」ものでした。

陶器で蓋付きの保存容器があったので、それに入れて、翌朝温める時にそのまま蒸してみると、意外に時間がかからなかったのと、多少時間が長くなっても焦げるなどの問題がなく、朝の支度をしながらお弁当作りができる事に気が付きました。醤油と味醂または酒の割合を変えて、豚肉の時は生姜も多めにして生姜焼きにしたりしました。

学童保育時代を含め、一番多い日は3人の息子と自分のお弁当を作るとなると、まさに気分はお弁当屋さんでした。保育園の調理さんを真似て、ビニール手袋を使ったり、食材は加熱する前に切るようにしたり、暑い時は、葡萄や桜桃などの包丁不要の果物や缶詰めも使います。使い捨てのビニール手袋と電池式の小さな扇風機は、わが家のお弁当作りのマストアイテムです。手を使うと、水気も絞りやすく、盛り付けのスピードも違います。少しコストはかかりますが、使い捨てのケースは洗い物も楽になります。

ご飯を冷ます時は、保冷剤を下において扇風機をつけています。最初はうちわで扇いでいましたが、ある日ディズニーランドでお土産に買ってきた、子どもが触っても怪我をしない程度に柔らかい羽でゆる~い風のプーさんの扇風機を使ったら、それが、ご飯が乾きすぎない程度に冷めて大当たりでした。

また、早起きしてお弁当を作っていると結構孤独なものですが、毎日の事ですので、自分のモチベーションが頼りでした。「プーさん、よろしくっ!」と話しかけながらスイッチを入れ、「プーさん、ありがとー」とスイッチを切る母の姿を見た息子は、ちょっと呆れていたかも……いや、諦めていたのかもしれません。

写真は高校生の三男のお弁当です。この日は合宿へ行くため、使い捨ての容器を使いました。さすがに高校生なので、もちろんレシピより多めに作っております。

長いお弁当作り生活では、冷凍食品も上手に使いながら、肩の力を抜いて、ちょっとは楽しく続けて行けたなら、将来、良い思い出話になるのだろうと思っています。

現在、活躍中の3代目の扇風機は、普通の形なので、お弁当生活の最後に向けて、楽しい扇風機を探そうかと、原稿を書きながら思いつきました。

レシピ

鶏の照り焼き丼

材料(1人分)

 鶏のモモ肉(唐揚げ用) 6切れ程度

 (少し大きめで100~150グラム程度)

  みりん………………30㏄

  酒……………………30㏄

  醤油…………………60㏄

  生姜絞汁……………10㏄程度

 ※ すりおろししょうがのままでもOK。チューブのしょうがを使う場合は多めに。

  絹さや………………5~6枚

  卵……………………1個

  砂糖適量、塩ひとつまみ、酒少々

 ※砂糖の代わりにガムシロップも便利です。その時お酒はなくても大丈夫です。

 ご飯 (お弁当箱に少し軽めの量を敷き詰める)

作り方

《前日》

  鶏肉は皮の方を下にして、濃い目のきつね色になるまで焼き、出来るだけ皮がはがれないように注意して裏に返して、火が通るまで焼く。

 焼いている間につけ汁を作り、焼き上がった鶏肉を浸し、冷蔵庫で一晩冷やす。

   ※翌日そのまま蒸しますので、耐熱容器や小鉢のようなものを使うと便利です。

 絹さやは筋を取り、袋か容器に入れて冷蔵庫で保管します。

《当日》

ご飯を炊きます。熱帯夜などでなければ、前日タイマー炊飯もOK。

鍋に1cm位の深さの水を入れ、冷しておいた鶏肉の容器を入れて10~15分蒸します。

   気温や量にもよりますが、目安は付け汁がグツグツする頃です。

ご飯が炊けたら、すぐに皿などに取り、冷まします。鶏肉も皿に取り冷まします。

鍋の水を入れ換えて、沸騰する間に絹さやを小さく切り、ひとつまみの塩でさっと茹でて冷まします。

卵に砂糖、塩、酒を鍋に入れてよく混ぜ、火にかけていりたまごを作り、冷ます。

❾ ご飯を弁当箱に軽く敷き詰め、鶏肉、きぬさや、炒り卵を盛り付け、大さじ1程度の漬け汁をかけて完成。季節の果物を添えるとよい。 

*児童育成協会「こどもの栄養」に会員が交代で執筆した連載を再掲載しています。