二人目はどうするの?

「二人目はどうするの?」

「主人の年齢も年齢ですし、お金の余裕もないので考えてないです」

 その後の会話はよく覚えていない。質問してきたのは息子の保育園の元担任の先生だ。ベテランでとてもよい先生なのは分かっている。だが、にこやかに話しながら心の中で泣きそうになっていたことを先生は知らない。

 結婚したら子どもは二人欲しいと思っていた。だが、結婚後、妊娠することなく数年が経った。勇気を出して産婦人科に行ったところ、不妊治療をすることになった。毎月の注射は痛く、お金はどんどん減っていく。期待と絶望が毎月繰り返される終わりの見えない不妊治療にどんどん気持ちが荒んでいった。そしてようやく子どもを授かった。もちろん主人の年齢やお金の問題もあるが、あの苦しみはもう二度と味わいたくない。

 その先生は相手が不妊治療で苦労して子どもを産んだとは想像したこともなかったのだろう。家族計画は家庭によってそれぞれだし、不妊や病気が原因で二人目を断念した、二人目不妊に悩んでいるなど、口に出せない事情がある場合もある。ただの世間話ではないかと思われるかもしれないが、相手によってはその「世間話」がとても辛く感じることがあることを分かってほしい。