コロナ禍で保育の利用は変化したか?

保育園を考える親の会は、2021年4・5月に会員アンケートを実施し、新型コロナ感染防止対策の影響で、保育時間などにどのような変化があったかを調べました。回答数は59件でした。

 

【A1】コロナ禍が始まった2020年1月以降、保育を利用する時間は変化しましたか?

保育を利用する時間はコロナ禍前と変化したかどうかを尋ねています。「現在(2021年5月ごろ)の利用時間は、コロナ以前よりも短くなっている」が37%で1位になりましたが、「短くなった期間もあったが今は元に戻っている」人も19%いて、「以前とおおむね同じ」27%と合わせると、「おおむね短くなっている」人よりも多くなりました。

*「その他」の自由記述
・息子が自閉スペクトラム症のため施設が変わりました。育て方をプロに教えていただきとても快適に幸せになりました^^

 
【A2】コロナ禍前よりも保育の利用時間が短くなっている理由を選んでください。(複数回答)

(A1)で「おおむね短くなっている」と回答した22人に、その理由を聞きました。重複回答ありで答えてもらっています。「在宅勤務になり、通勤時間がなくなったり、勤務時間が短縮されたりしているため」という選択肢が最も多く、6割強の人が選んでいます。続いて「子どもがコロナに感染するリスクを減らすため」を3割弱が。「その他」のみを選んだ人が3人あり、そのうち2人は在宅勤務や勤務時間の短縮があったということなので、1番目の選択肢に含まれると考えられます。残る1人は「産休育休に入ったため」とのことで、コロナとは無関係でした。

*「その他」の記入
・2020年4月にちょうど自身の産休育休に入ったため。
・学童の人数制限により利用できないため。
・コロナ関係なく迎え担当者の定期異動で家に近い勤務先になったため
・会社の規定がコロナで緩くなり、子どもが自宅に居ても在宅勤務可能となったので、早めにお迎えに行けるようになりました。
・昼休憩の短縮が認められ、勤務時間が短縮されたため。
・オプションの園内英会話教室開始時間前に勤務が終わったらお迎えに行き、開始時間ちょうどに再来園するよう要請された。

 

【B1】保育施設から保育の利用について次のような要請されたことはありますか? 選択肢の「必要な」とは、仕事があって保育が必要であることを指します。

利用する保育施設で、「必要な保育」の利用を控えるように言われたり、言われたと感じるような対応をされたことがあるかどうかを聞きました。「ある」と答えた人が4割、「ない」が6割でした。

 

【B2】必要な保育の利用を控えるように言われた(言われたと感じる対応があった)のは、どの保育でしょうか?(複数回答)

(B1)で「利用を控えるように言われた(と感じた)」と回答した23人に、どの保育だったかを答えてもらいました。「平日の通常保育」が最も多く、いわゆる「登園自粛」の要請だったことがわかります。延長保育や土曜日の保育の利用にも自粛要請があったことがわかります。なお、この設問にも「その他」の選択肢を設けていましたが、記入がありませんでした。

 

【B3】上記のような要請や対応は、どういったことが理由と考えられますか?(複数回答)

同じく(B1)で「利用を控えるように言われた(と感じた)」と回答した23人に、その理由をどのように受け止めているかを聞きました。そのうち22人が「コロナ感染拡大防止のため」をチェックした上で他の項目を重複回答していました。1人は「保育士の負担軽減」のみをチェックしていました。

*「その他」の記入
企業利益

 

【B4】このような要請や対応に、どのように対応(解決)しましたか?(自由記述)

・できるだけ協力した。
・いっても仕方がないのであきらめた。
・仕方ないので短縮し在宅勤務しながら自宅保育した。
・在宅勤務しながら子の世話も自宅で行った。
・予定を調整して家庭保育の対応した。
・子連れ在宅ワーカーについて、有事のため会社の理解があり、むしろ在宅ワークが一気に推進されてよかった。
・可能な範囲で応対した。特に休校時などは登園自粛も行った。
・緊急事態宣言中の2020年4月から5月の丸2ヶ月間は、ずっと登園自粛をした。
・可能ならな範囲で保育園に預ける時間を短くする。
・仕事量を増やさないようにした。
・今までの仕事の出勤日を減らし、新たに昼までに終わる仕事のダブルワークを始めた。
・会社を休み、副業のライター業務を辞めた。
・20時まで延長可能の保育園だが、コロナで消毒作業が増えたため、遅番の保育士に1時間早く出勤してもらっているので可能ならば19時までに迎えに来てほしいとのことだった。(仕事で難しければ19時を過ぎても大丈夫とのこと)
・保育園側の事情も分かるので夫との分担や仕事を調整し19時までに迎えに行っている。
・家族で時間を作った。
・義母(子の祖母)が早めに迎えに行く。
・なるべく親族にみてもらうようにした。
・保育園との関係もあり、個別の事情は主張できなかった。
・出勤状況や、勤務している会社の業界の状況について説明した紙の提出を求められ、提出した。
・勤務状況は変わらない中で在宅勤務という理由だけで利用を控えて欲しい、と言われるのは強い違和感を感じた。公立認可園なので保育所、市の保育課にもフィードバックし適切に対応してもらった。数か月後、私立認可園では過度な利用抑制の要請があったことが市議会で指摘されていました。
・出来る範囲で協力したが、保育士が休みたいだけという気がした。
・いつも通り登園した。仕事が自宅の去年の4月は家で一緒に過ごした。
・育休中は出来る限り自宅保育としました。
・昨年のことだが、子どもを見ながら仕事はできないと感じ、育休を延長した。

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この1年半、コロナ感染防止対策も、人々の意識も変化してきました。

保育園等の対応はさまざまで、中には保護者から見て疑問を感ずるような対応もあったようです。しかし、多くの園や保護者が、苦しい思いをしながらも協力し合ってきたことが、このアンケート結果から読み取れました。

*2021年会員アンケートは、このほか、有料の習い事保育や不適切保育についての設問がありました。後日、公開させていただきます。