登園しぶりを救ってくれた地域のあたたかさ

(過日に親の会の会員よりメッセージをいただきました。許可をいただきまして掲載します)

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先日、娘が無事に保育園を卒園しました。

今まで相談に乗っていただき、本当にありがとうございました。
子育てと仕事の両立は容易ではなく、暗闇をさまようような毎日でしたが、
ようやく、一つの到達点に来たように思っています。

一昨年の夏は、親の会のメーリングリストで「登園しぶり」について相談させていただきました。
当時は深刻でしたが、その後、徐々に問題が解消して卒園にたどり着いたので、
ご報告したいと思います。

娘が激しい登園しぶりをしていたのは、色々なストレスに対する
娘なりの、精一杯の抵抗だったのだと思います。

私は悩み、児童相談所に足を運びました。
児相の方は保育園まで面談に来てくれて、娘の様子を見て下さいました。
その時は緊張していたのか、大人しい態度だったようで、
特に問題はないと言われました。私は少しホッとしました。
とはいえ登園しぶりは解消せず、毎朝、泣き叫ぶ娘を保育園において仕事に行くのは
本当に身を裂かれるような辛さでした。

状況が変わったのは、同じ年の冬頃でした。
保育園の隣にあるお店の軒下に、きれいな貝殻が置いてありました。
園児のみんなは気になって見ていたようですが、
娘は思い切って「これ、なあに?」とお店の方々に聞きました。
すると、海で拾った貝殻で、自由に持っていっていいと言ってくださいました。
娘は嬉しそうにもらって帰り、とても大事にしていました。

翌日も翌々日も貝殻はお店の軒先にあり、
娘は友達を連れ立って、貝殻をもらいにいきました。
お店の方々は、朝の送りの時も、夕方のお迎えの時も娘に声をかけてくれて、
いつもニコニコ見守ってくれました。

貝殻という楽しみができたこと、
そしてお店の方々と仲良しということで
娘はクラスでも一目置かれるようになったように見えます。
登園時に泣くことはだんだん減っていき、年長クラスからは
当たり前のように登園するようになりました。
家庭内での激しい態度も、気がつくとだいぶ減っていきました。
途中から、お店の貝殻は”品切れ”になりましたが、困りませんでした。

「地域で子育てをする」とよくいいますが、
それは制度化できるものではなく、ちょっとした目配りの
集積なのだろうなあと、この経験を通じて感じました。

保育園の先生はもちろんですが、その隣のお店の方々が
娘の顔を覚えてくださり、「おはよう」「げんき?」と声をかけてくれることで
私はとても救われ、一人で抱え込んでいてたストレスが和らぎました。
娘も「新しい靴を買ってもらったの」「明日は運動会なの」などと
お店の方々に伝えることで、地域社会とつながっていったように思います。

娘がどんな小学生になるのか予想がつきませんが、
なるべく自由に、いろんな人とつながって、
好きなことをたくさん見つけてほしいなあと思います。


(保育園を考える親の会会員 東京都・K)