大切にしたい「食べたものが身体をつくる」

 

毎日の食事は野菜をたくさん…… 

 学生時代に出逢った合気道にはまり、断食もやってみて、食べたものが身体はもちろんのこと、心の有り様にも大きく関わってくることを実感していました。独身時代に料理教室にも通いつめました。そのため、食は、子育てにおいて、いちばん大事にしていることのひとつだと思っています。

 毎週、産地からの野菜を、生産者の方お任せで取り寄せています。また、季節の折々に、九州の祖父母から、自家用に作った野菜、果物が大量に!届きます。ご近所にお裾分けしながら、ありがたくいただいています。

 野菜、特に青い野菜を残しがちな幼児に、細かく刻み、おやきや蒸しパン、ポタージュにしたりと試行錯誤したこともありましたが、素材そのものの姿を無くしてまで食べさせようとしている自分に、ハタと違和感を感じました。

 思い返してみたら、私たちが小さい頃、食卓に並んでいたのは、子どもが好きなものばかりではなく、おひたし、きんぴら、ひじきの煮物、定番の惣菜たちでした。誕生日やクリスマス、運動会、遠足などのイベントにはお楽しみのおかずが並びましたが、そういえば普段は、その時その時の名もないおかずを毎日いただいていたのを思い出したのです。おやつも市販のお菓子が出てくることはほとんどなく、ふかし芋、おむすび、おやき、ホットケーキ、炒り豆、などなど食事の一環でした。

 大学進学を機に上京、独り暮らしのスタートで、自分の好きなものを好きなだけ食べられる生活に。夢だったどんぶりいっぱいの茶碗蒸し、丸ごとスイカ、などなど好きなことやってみましたが、ひと通り試して気が済んでみると、ふと自分が食べたくなって作るのは、野菜の煮物、炒め物。名前もないような料理だけど、八百屋さんの店先に山になっている旬のお野菜をたくさんいただくのが、いちばん身体がホッと安心できるような気がするのです。当たり前の日々が、親元を離れた時に身体にしみついていることを実感しました。

 子育ての中で日々作る食事は、やっぱり身体にしみついているものばかり。特別なものはありませんが、旬のものを大事にいただいています。

 三人兄弟妹の長男がこの春から小学校へ。初めての給食が始まりました。これまでは、保育園での給食も家庭での食事も、和食を中心に昔ながらの粗食を実践しており、お魚やお肉はたまのお楽しみでした。毎日「明日の給食、なにー?」と聞き、担任の先生からは「毎回、気持ちよいくらいお代わりしてくれてますよー」と、好き嫌いという言葉はどこへ?とお墨付きをいただいています。入学して2週間後、学級閉鎖になるほど欠席生徒が重なった際も元気で、「お休みの人のも食べちゃった!」とチャッカリ。食べる力は生きるチカラだなと改めて実感しています。

 下の子どもたちが通う保育園は、自然の中、泥んこの中で子どもたちの心と身体を育む保育を実践しています。これからも、揺れつつも親子ともに自分の中にブレない芯を育んでいきたい。いつの日か、子どもたちがそれぞれに巣立ち、自分の手で日々の食事を作るようになる日に、自然に編み出されてくる品々が彼らの心と身体を健やかに育ててくれますようにと、祈りを込めて食事をつくります。

食事作りの工夫

 保育園にお迎えして帰宅後、お風呂、食事、明日の準備、7時半就寝までは嵐のよう。毎日ゼロから作る余裕はありません。冷蔵庫の中には、週末に作りためておいた惣菜が大きなホーローバットにスタンバイしています。野菜をせん切りしたものなども、細かく切った野菜など、すぐに炒め・煮るだけのものなどをタッパーで保存しておくと、毎日の食事作りの時間短縮に貢献しています。

 また、晩ご飯前に、すぐ出せるものもいくつも準備しています。いつもあるもののひとつに冷蔵庫で発酵させるパン。煮てマッシュした人参、かぼちゃ、青菜などなど、野菜を入れたちぎりパンの生地は、エンゼル型に入れて焼くだけ。夜に食べるときは帰宅後すぐ焼けば子どもたちは、お風呂からあがったら焼きたてパンを食べて晩ご飯のおかずの出来上がりを待ちます。朝食に食べるときは起きてすぐ焼きます。

手作りパン-冷蔵庫で発酵

材料 (21cmのリング型1個分)

 強力粉………………400g

 塩……………………6g

 冷水…………………300g

 ドライイースト……小さじ1

  ※ 水分を2/3にし、豆腐・マッシュした

野菜など(100gほど)加えてもOK

作り方

  材料全部をボウルに入れ、ヘラなどでぐるぐるさっくり混ぜ、まとめる。

  乾かないようにぬれ布巾、ラップなどかぶせ、冷蔵庫でひと晩~1日発酵させる。(最低12時間)

 8個に等分して型に入れ、アルミホイル・鉄のフライパンなどで蓋をする。

 250度のオーブンで30分焼いてから、蓋を外し、230度に下げて15分ほど焼く。

*児童育成協会「こどもの栄養」に会員が交代で執筆した連載を再掲載しています。