保育士配置基準の改定についての意見



国は2023年12月28日、保育所や認定こども園における保育士や保育教諭の配置基準を改定することについて、パブリックコメントを募集しました。

保育園を考える親の会は2024年1月22日、下記のとおり、パブリックコメントを提出いたしました。


2024年1月22日

 

【パブリックコメント提出】

児童福祉施設の設備及び運営に関する 基準及び家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準の一部を改正する内閣府令案に関する意見

及び

就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第三条第二項及び第四項の規定に基づき内閣総理大臣及び文部科学大臣が定める施設の設備及び運営に関する基準の一部を改正する件に関する意見

 

保育園を考える親の会代表 渡邊寛子

 このたび、長年の悲願がかなえられ、保育所・認定こども園等における保育士・保育教諭の配置基準について、3歳児15対1、4・5歳児25対1とする改定が行われることに賛同いたします。

ただし、この改定が、子どもにとっての保育の質の向上に実効性をもつために、次の点について、さらなる検討をお願いいたします。

1)従前の基準により運営することも妨げないとする経過措置は、「当分の間」とするのではなく、期限を設けてください。少しでも早く、全施設が改定された配置基準を上回るよう、国として支援・指導してください。

①   当会の2023年度版「100都市保育力充実度チェック」(都市部の100の市区の2023年4月1日現在の状況を調査)によると、保育所において3歳児15対1の配置が行われている自治体は100市区中61市区でした。そのうち20市区は全園実施、残りの41市区は一部での実施でした。3歳児15対1の配置改善加算が実施されて8年がたっていますが、基準として徹底されなければ、自治体や事業者によって、達成されない部分ができてしまうことにご留意ください。

②   基準が実現するためには、保育士不足が解消される必要があります。保育士の処遇改善は少しずつ進んでおり、また現場の負担軽減のためのサポート人員の投入も計画されていることも承知しておりますが、これらをより強力に推し進め、意欲的で適格な人材を保育者として確保できる環境の実現を急いでください。

2)現在「チーム保育推進加算」「チーム保育加配加算」の適用を受けている施設は、4・5歳児25対1加算の対象外となるという点について、今回の改定の目的や効果を損ねるのではないかと懸念します。これらの加算は「職員の平均経験年数が12年以上である場合」に規模に応じて適用されるものですが、本来は処遇改善等加算Ⅰの基礎分が平均経験年数11年で頭打ちになっていることを補う目的もあったと考えます。これら職員の経験値を高める努力をしていると思われる施設に対して今回の改定の効果がないというのは、職員にとっても、利用する保護者にとっても納得が行きかねるものです。修正の検討をお願いします。

3)配置基準の改善については、1歳児5対1とする計画も積み残されているほか、4・5歳児についても25対1はまだ改善する余地のある配置であると考えます。諸外国の保育・教育施策も参考に、子どもの育ちを豊かに支えるための改善を継続してくださいますよう、お願いいたします。

以下、「諸外国における保育の質の捉え方・示し方に関する研究会 報告書」(2019年 厚生労働省)で紹介された各国の幼児クラスの保育者配置より。

 ニュージーランド(全日型保育の場合) 「2歳未満5対1、2歳以上10対1」を2029年までに「2歳未満4対1、2歳5対1、3歳以上10対1」にする”Early learning action plan 2019-2029”計画が進行中)。

 英国(主にイングランドの施設型保育の場合)2歳未満→3対1、2歳→4対1、3〜5歳→8~13対1 *保育者の資格によって異なる。

 スウェーデン(就学前学校の場合)1〜5歳→1クラスに3名(就学前学校教諭<大卒>1名以上で残りは保育士を配置、2016/17年の平均で1クラス15.9人)

 ドイツ(州により異なる。2012年) 3歳未満→4.5対1(保育所の全国平均)、3〜6歳→東部州平均11.8対1、西部州平均8.6対1(幼稚園) *ベルテルスマン財団推奨 3〜6歳→7.5対1 

<最後に>

 保育者が子ども一人一人の育ちを見つめて理解したり、保育の振り返り(自己評価)をしたり、チームで共有して課題解決を図ったりする時間を確保できることは、不適切保育の防止はもちろん、質の高い保育の実現や、親に寄り添う子育て支援を実現するためにも必須です。

 子どもの数が減る局面であるからこそ、その分の予算を質の向上に充て、子ども一人一人をていねいに育む保育施策としてくださいますようお願いいたします。

 意見書のPDF版はこちら