入園の前後で「保育の質」についての考えはどう変わったか

2018年6月実施の臨時アンケートで集まった声をご紹介します。

 

[入園の前後で「保育の質」についての考えは変わりましたか]

「あなたが保育園等に子どもを通わせ始める前と後では、「保育の質」として大切に考える事柄は変わりましたか?」と聞いてみました(上図)。

 

[どう変わったかお聞かせください]

 

保育士の専門性に気づいた
  • 園庭や給食よりも先生の対応力。
  • 入園前は単純にハード面(園庭の有無や食事など)に目がいきましたが、通ってみると細やかな声かけや読み聞かせ-外出、子どもの成長に合わせて興味のもてる遊びをするなど、点数化できない点の重要さを感じました。
  • 担任の先生たちの、子どもたちへの向き合い方が一生懸命で全力、それがわが子を通じて見えたことが、驚きと感動と感謝です。関わった先生方のすごさを実感しました。
  • 預ける前は、部屋の広さや園庭などの環境を一番気にしていたが、預け始めた現在は「子ども一人ひとりにちゃんと向き合ってくれているか」が大切だと感じるようになった。
  • 1人目が入園する前は、単に「子どもが日中(親が不在の間)過ごす施設」、「その間お世話をしてくれる人」という程度の認識でしたが、2人の子どもを9年通わせてみて、保育園・保育士は「親とともに子どもの育ちを見守り、励まし、導いてくれる存在」だったと感じます。親にとっても、子どもとの接し方(特に、子どもの思いを汲みとり、子どものペースに合わせて物事を進めること、最終的な目標「自立」に向けて、その時々で必要な手助けをすることなど)をどうするか、という点で保育園・保育士の接し方には学ぶことが多かったし、助言もたくさんもらいました。
  • 前は、質と言ってもピンとこなかった。保育園に入れないかもしれないという中で遠い所や認可外など幅広く見学し、インターナショナル的な打ち出しをしている認可外など、うっすら「こういう所に通うと我が子もバイリンガル?」など考えていました。現実に日々子どもが通うと、「安全に、健全に」が大切だと感じています。先生が目を配ってくださること、気をつけて下さるポイントなどが一致していることが親の安心につながっていると感じます。安全に気をつけるあまり不自然に統制されるわけでなく、日常的に起こることに対して適切な対応があることも大切だなと思っています。
  • 見学のとき、子どもたちが楽しそうにしているかが大切と同僚お母さんに言われていて、その通りだったと思います。また、0歳児はとりわけ、専門的な知識や経験が必要なんだとわかり、これは入るまで、見方も何もわからなかったと思いました。園で採用している担当制はとてもいいし、他の園でも必要なのではと思っています。
  • 通う前はつい施設に目が向いてしまいがちだが、通ってみると、中にいる先生方のほうがよほど重要だと思いました。ただ、これは通ってみないと実感できず、通う前に判別するのは非常に難しいことでもあると思います。また、園に限らないことですが、こうした体制面は刻々と変化するものでもあります。自分がお世話になった園に関していうと、園長先生が交代しただけでも大きく雰囲気が変わりました。自分たちの通っていた時代はよかったんだな、と感じるくらいの変化です。各園の良いところは残っていってほしいとも思いますが、時代の変化が影響する避けがたい変化もあり、さびしさも感じています。
  • 大きな危険はもちろん避けた上で、子どもの感覚や目線を理解して、半歩程度先を見据えた、ほんの少し見守り育てる度量を身につけることの必要性に気付かせていただいたこと。

 

子どもが安心できて楽しいことが大切と気づいた
  • 子どもには遊びに夢中になる時間が何より大事だと言うこと。それまでは、リトミックとか英語とかあったらお稽古ごと省けてよいのに、なんて考えていました。
  • 入園前はとにかく保育園に入園することが最優先で、もし入れるなら保育の質は少々妥協しても仕方ないと思っていたが、入園した保育の質がよく、毎日楽しそうに保育園に通っている様子を見て、保育の質は妥協したらいけないと思った。子どもが数日前に歩き始めた。家は狭いためかあまり歩かないのだが、保育園ではもう5歩も歩いたそうだ。保育スペースに余裕があって保育士さんが目を配ってくれているからこそできるのだと思う。
  • ターミナルビルに併設しているような親に都合のよい保育園が、子どもたちにとっては良い環境と言えないと今は考えている。戸外遊びや散歩の頻度に関わってくるので。
  • 細かいことを求め過ぎていたが、結局は子どもが元気で安全に健やかに過ごすことだけで十分保育の質を確保出来ているのだ、と思った。というのも、他の保育園に比べて、給食のメニューがパターン化され過ぎていて、食材の種類もあまり多くなく、工夫が見られないことに、やや不満を感じていたが、そういうことを気にするのは、本質を捉えてないと後から気づいた。子どもが美味しく楽しく食べることの方が重要なのだと思った。

 

親へのサービスよりも…
  • 大人の一方的な都合や要望ではなく、子どもがのびのびと遊んだり学んだりできる子どもが中心となる保育をしていただくことが一番大切と感じました。
  • いわゆるサービスを求めるのは当たり前のことだと思っていましたが、保育はサービスではないと言うこと、保育士の方の多くも子どもを保育園に預けながら働いてくれていること、本当に子どものことをよく見てくれていること、感謝しても仕切れないことばかりです。いわゆる親のためのサービスは本来求めるべきではない(保育の質確保のためにも)と感じています。
  • 保育園は親のための施設ではなく、子どものための施設であること。主は子どもであり、親ではないこと。子どもが過ごすために最高の環境を作るべきであり、保護者の都合のためにあれやれこれやれと物申すべきではないこと、など。
  • 転園の前後で思ったこと。サービスが良いことが「質」だと思っていました。例えば、オムツの購入から廃棄まで全部受けてくれたり、夕食まで用意してくれたり、認証保育所時代は便利で、それが「質」だと思っていました。でも、親が子どもの生活や育ちをしっかり見 たり、育児の面倒さに向き合っていけるように伴走者になってくれるような今の園に入ってか らは、子どもの育ちを丁寧に説明して親を巻き込んでくれることに質の高さを感じています。

 

保育士等の働く環境が大切と思った
  • カリキュラムや施設ももちろん大切ですが、何よりも保育士さんや用務員さん等、子どもに適切にかかわってくださる方の数と余裕が大切だと思うようになりました。
  • 認可園ならどこも同じかと思っていたが違う。環境的にはある程度同じでも、保育の質では保育士のプロとしての感覚が大きく左右する。また保育士がこの仕事を楽しんでいることも大事。楽しそうに子どもの様子を伝えてくれる姿に、この園に入れてよかったと思う。保育士にゆとりがなければこのような姿は見られないはず。
  • 保育士の人数が安定していること(年度末の離職が少ないこと)
  • 一日中過ごす場所なので、さまざまなゆとりが必要。
  • 当初、どうやってあの保育料だけでこれだけの職員を雇用できるのか?と疑問でした。自治体がその殆どのお金を出していると知り、公務員だからこその質が守られているのだと感じました。決して目立ったサービスはなかったものの、先生方は本当落ち着きがあり、安定していたと思います。途中公設民営委託となり、その質を守るためには平均給与の高いところをと思い、選定の参考にしました。公立のときよりは出入りがありますが、近隣の私立よりはまだ職員の定着率が高いかなと思っています。

 

質の差は大きい!
  • 園での先生の関わり方によって子どもの様子がまるで違うから。
  • 園によって、担当する先生によって子どもの育ちが違う現実を目の当たりにしたからです。
  • 以前は預けられればどこでも同じと考えていた。しかし実際に預けてみると、私の子どもの通う園は保育士さんがとても親切丁寧で明るい雰囲気があり、また園庭が広く遊具も多くたくさん遊んできている様子です。とても恵まれていると感じます。他の園の様子はわかりませんが、質の良い保育園でよかったと思いました。
  • 保育園に入る前は、とにかく入ることに精いっぱいで保育の質にまで考えがおよばなかった。どの施設にいってもそれなりにまっとうな保育が受けられるものと期待していた。幸い、自分の子どもがお世話になっている保育園は素晴らしい保育を提供してくださっているが、そうでない施設も少なくないと聞いて、不安でもあり悲しい気持ちになる。
  • 正確には、保活中に変わりました。20ほどの保育園見学を通じて、同じ地域で同じよう認可を受けている園でもこんなにも保育の質や運営者に差があるのかと知り驚きました。「認可ならどこでも安心」という思いは崩れ去りました。「とにかく、回すことに必死」という園と、「子どもへの思いやあたたかいまなざしを持って運営している園」とがあり、その差は驚くべきものでした。そして、わが子は一度転園しています。転園前も後も認可園ですが、ここまで違うのか!をますます感じています。転園前は一ヶ月に何名か保育士が変わるほど入れ替わりが激しく、一年が終わったころには担任全員変わっていましたが、現在の園は一年を通じて同じ先生にみていただけたので、それだけでもありがたいなと思います。ユニークな試みや英語や絵画や…とかも魅力はありますが、そんなことよりも、子どもが安心して通えるということが何よりも大切だと実感しています。

 

保育士の資質の差に気づいた
  • 主任の先生が若くて人間的に練れていなく、相談してもあまり期待した答えとはズレていたりすることがあり、次回以降から相談をためらうようになりました。ベテランの先生がいつもフォローしているので、まだ不信感がつのらずすんでいますが、預けるとき必ずその先生なので、人間的に練れていて、保護者対応のよいことも保育の質に含まれるのではないかと思うようになりました。今のままなのは相談しずらいです。こちらが何らかの形で納得いくように行動しなくてはならなくなったので、残念だなと思っています。
  • 先生は子どもに言うことを聞かせるために必死なのだと思うが、先生の態度を子どもが真似る(見下す、ダメとラベリングする)など、経験の長い先生がいるから安心、ではないことがわかった。とは言え、3年目と1年目で0歳クラスを見てもらっていた認証よりは、命に関しての安心感(質)は高いが、子どもが過ごす時間が長いため、人格形成に影響があり、保育園の質として求めたいものが増えた
  • 2歳児クラスの時に外に出てしまう事故寸前のことがわが子にあった。流れに任せていてはいけない。言いたいことや気になることはちゃんと質問するようになった。

 

知らなかった一面があった
  • 入園前は、「保育園=先生が遊んでくれるところ」というイメージだったので、手遊びや歌や紙芝居のような時間がたくさんあることが「良い」と思っていましたが、入園後は「保育園=子どもの生活の場」なのだと実感し、給食や手洗い、お昼寝の時間などの質が大事だと思うようになりました。
  • 保育所が保護者のコミュニティの場を提供することの重要性。保護者が共に子育てを楽しんだり協力したりできる仲間をみつける場としての機能も子育て支援の質だと思う。働いている親は保育所がそのような場を設けてくれないとなかなか仲間は作れない。地域で子どもを見守る為にも親どうしの面識は必要。今、私が通ってる保育所は今年から新規事業で大きく保育内容が変わり、その機能が一切なく、孤独な子育てや希薄な地域性を作り出すことになっている。親の参加する行事は無く、父母会も設置せず、クラス懇談会もしない。今の保育所はただの託児所である。この町には保育所はたった一つしかないのに。しかも、町立。私は質が低下した、とても大きな問題だと思っています。