「いつもがんばっているよね」

いつもの夕暮れ。いつものようにお迎え時間ギリギリに保育園に駆け込んでい ったら、5才のムスコは私をみつけて一目散に教室から飛び出してきました。先生にさようならを言おうとしてふと、プリントを入れるクリアフォルダが廊下に落ちているのを息子が発見したのです。

他のクラスの子のものだったので、マークを見ても誰のなのかとっさには分からず、ちょっと困った様子。名前がひらがなで書かれていたのでつい自慢心がわいた私は息子に「読んでごらん、もうひらがな読めるんだよね」とつついてみました。先生にひらがなが読めるカッコイイ我が子を見せて”わぁ、スゴイね!”と言われて欲しかったのです。もっと言うと褒められている我が息子を私が見たかったのです。

 ところが照れちゃった息子はモジモジうじうじクネクネ…。ちっとも読めません。「ねぇ読んで、よめるんだからさ!」と迫る私に保育士の先生がや さしく「お母さん、息子くん、いつも園ではとってもがんばっているんですよね、だからいいんですよ」って子供の肩をそっと抱いてやさしく落とし物を受け取って下さいました。「大丈夫、すごい息子くんですよね!」と私を見てにっこり。

私は恥ずかしいやら面目ないやらで、子供に合わす顔がない思いでした。子どものことを私より分かってくれている先生。見栄っ張りな私の気持ちも分かってさりげなくフォローしてくれたみたいです!

*公益社団法人 全国私立保育園連盟「保育通信」に会員が交代で執筆した連載を再掲載しています。