保育所の面積基準緩和についての意見表明・自治体へのアピール(地方分権一括法の施行を受けて)

[2012年4月5日付の意見表明]

この4月より、地方分権一括法によって自治体における保育所面積基準の緩和が時限的に容認されることにつきまして、保護者の立場から意見を表明します。

【国基準以下は子どもの人権侵害】
先進諸国の基準と比べて最低限の水準である国の面積基準を、さらに下回ることをよしとすることは、そこで一日暮らす子どもの命の安全、健やかな発達、生活の質を脅かすものであり、子どもの人権の侵害にあたると考えます。ご存知のとおり、子どもの詰め込みが誘因となった死亡事故、子どもの心身の発達と保育環境の関係を明らかにした各種の研究結果もあり、このことに決定権をもつ方々には、その重大さを今一度ご確認いただきたいと思います。

【地域の声をお聞きください】
当会には、国の面積基準ぎりぎりの保育を受ける保護者から、子どもの成長が不安であるとの声が多数寄せられています。東京都における0−1歳児の面積基準を2.5平米まで緩和する条例の検討段階においても、当会の「子どもの詰め込みにNOと言う緊急アピール」(2011年2月)に多くの賛同メッセージが寄せられました。
「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」の本来の主旨に照らせば、この件で直接の影響を受ける子どもや保護者、つまり地域の声こそ重視されなければならず、地域主権という名目のもとに、当事者への十分な説明や了解を求めるプロセスもなくその基本的人権にかかわるような決定がされるようなことがあるとすれば、それは大きな矛盾であると考えます。

【子どもたちが健やかに育つ待機児童対策を】
保育所に入園できず待機している家庭も、子どもの安全や健康、幸せを守れる水準の保育を求めて、保育所を希望しています。最低でも国基準以上の面積を確保した保育所を整備する待機児童対策を行っていただくようお願いします。
大人たちは美しいオフィスビルやパブリックスペースを闊歩し、子どもたちは狭い保育室に押し込められているような風景をおかしいと感じることができる感性と民度こそ、自治体が子どもの豊かな未来を切り開く施策を主体的に担っていくために必要であると考えます。

以上、関係者に皆様には、なにとぞご考慮賜りたくお願い申し上げます。


[2012年4月25日付で自治体へのアピール]

<これまでのあらすじ>

昨年成立した地方分権一括法附則4条は、待機児童が多い自治体が保育園の面積基準を緩和することを認めました(平成26年度末まで)。
これによって、この4月から、厚生省令で指定された35市区では国の基準(0−1歳児1人当たり3.3平方メートル、2歳以上児1人当たり1.98平方メートル)を下回る基準を設けてもよいことになっています。
面積が狭くなることは子どもの成長発達に悪影響があるという判断から、この緩和を見送ることを表明している市区が多いのですが、東京都や大阪市では、3月に以下のような条例が成立しています。

●東京都(東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例)
0~1歳児について、年度途中に定員を超えて入所させる場合、保育室の面積基準を1人当たり3.3平方メートルから2.5平方メートルに緩和することを認める。これを最低として各市区でも決定する。
●大阪市(大阪市児童福祉施設最低基準条例)
0~5歳について1人当たり1.65平方メートルとした。従来は0歳児5平方メートル、1歳児3.3平方メートル。

保育園を考える親の会では、関係自治体に上のとおり意見表明をし、ここで集めた賛同メッセージを届けました!


意見表明と賛同メッセージを自治体に届けました!