「保育要領」に要望したいこと

2013年9月27日

提出先:幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定に関する合同の検討会議

保育園を考える親の会
代表 普光院亜紀

「保育要領」に要望したいこと

幼保連携型認定こども園で実施される保育について、就労家庭の立場から、次の点をご配 慮いただきたくお願いいたします。

1「生活の場」としての役割を充実させること
一日を過ごす子どもと就労家庭が必要とする支援を配慮すること

私たちは、一日を園で過ごす子どもたちが必要とする保育、あるいは家庭の就労を支える支援が確保されることを強く望みます。現在、認定こども園その他の幼保連携型施設の保護者からは次のような訴えが複数と届いております。
×午前中だけの子どもに「不公平」にならないように午後は特別なことはしないという保育方針がとられている。
×午前中に活動が集中する、午後に午睡がない、などのために子どもが疲れている。
×平日の保護者参加行事が多く、仕事を休まなくてはならない日が多くなってしまう。
×園から一方的に保育時間を短くするように言われている。
×保育所なら保育してもらえるようなケガでも「お休み」するように言われる。
×(学童の場合の参考事例)全児童対象の放課後遊び場事業(独自事業、教育委員会主管)に学童保育を吸収したある区では、生活の場としての機能が年々奪われていき、室内スペースは100人以上が出入りする喧噪な教室しかなく、就労家庭の子どもたちは休息をとったり宿題をすることもできない環境で1日過ごさざるを得なくなっている。今年度から、一般児に不公平になるからという理由で、おやつも廃止された。
保育を必要とする子どもたちは、現在、保育所で朝から夕方まで、一日の生活リズムや活動のメリハリが考慮されたカリキュラムによる保育(養護と教育)を受けており、保護者は就労の状況を理解され支援されています。認定こども園においても、これらの配慮が行われるように、「保育要領」を定めていただきたいと思います。
なお、在宅子育て家庭と就労家庭が必要とする事柄は異なっており、その個々の状況を見ることなく、「公平にする」「区別しない」とする考え方は適切ではないと考えます。また、保育の場の「生活の場」としての充実は、教育の効果も増大させるものであることにも着眼する必要があります。

2 児童福祉施設としての使命を明確にすること
多様な育ち・家庭の状況を受け入れる社会的責任を明記すること

上記にも関連しますが、保育所保育指針の総則は、保育所について「保育に欠ける子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。」としています。幼保連携型認定こども園の「保育要領」にもこのような児童福祉施設としての役割を明記する必要があると考えます。関連して、保育所には現在、国の施策において、障がい児・発達障がい児保育、ひとり親家庭支援、要保護児童等の支援などの一端を担うことが期待されていることもふまえる必要があると考えます。

3 「教育」と「保育」の用語に配慮を

子ども・子育て支援法では、法内部での定義として「教育」は3歳以上児を対象に学校(幼稚園)のみが実施するものと規定していますが、これは教育基本法の用語にも合致しない狭義の定義であり、新しい「保育要領」においては、このような定義を用いることは不適切であると考えます。保育所保育指針は幼稚園教育要領の教育を包含した保育内容を示しており、これが「教育」ではないと表現することは、保育所の保護者の不安をあおり、保育所在籍児童への偏見を招くものであると考えます(別紙「狭義化する『教育』と『保育』」参照)。

4 保育所保育指針・第2章の活用を

「保育要領」においても、保育所保育指針第2章を保持・拡充してください。指針第2章が示す乳幼児の発達観は非常に重要であり、これによって保育者や保護者は一人ひとりの子どもの発達をより理解し、その発達に応じた対応をすることができます。少子社会ではともすれば子どもに対する理解が不足し、子どもを「小さな大人」と見なし、発達に合わない対応をしてしまいがちです。科学的知見に基づいた発達の過程、その姿が指針として示されていることは現場にも家庭にも助けになると考えます。

以上

【参考資料】
1 ある保護者からの訴え(下記)
2「狭義化する『保育』と『教育』」

【参考資料1】ある保護者からの訴え
私の子どもが通う園は、保育園(認可外)と幼稚園(公立)が併設された幼保一体型施設です。
制度が始まって2年目に入り、保育園を卒園した子どもたちが、幼稚園の長時間保育に通うようになりました。今、長時間保育の保護者、つまり働く保護者たちから不満が噴出しています。
具体的には
・保護者参加の平日の行事が多すぎる(平均月1,2回)。休みが多くなったため、正社員からパートに格下げになった方もいる。
・短時間保育の子どもたちが帰った後のプログラムが何もない。外にも出さず、園内で遊ばせているだけ。「お外で遊びたい」と訴えている長時間保育の子どももいる。
・連絡帳が活用されておらず、お昼寝をしたのか、食事をどのくらいしたのかが全く分からない。
等が挙げられます。長時間保育の保護者が不満を伝えたところ、「幼稚園は短時間保育の子どもたちのためのものですから」と言われたとのこと。幼稚園側に変わろうとする姿勢がないようです。
私はまだ子どもが保育園に通っているため、上記の内容はほかのお母さんたちから聞いたことになりますが、とても通わせることはできません。
これで「待機児童ゼロ」と言われても困ります。

これらの不満を伝えるために、自治体の担当者・教育長と面談をしました。
そこで一番問題だと思ったことは、幼保一体型制度をスタートさせた後、現場に任せきりで、現状を把握しようとしない、問題点を洗い出して制度をさらに良くしていこうという行政側の姿勢が全くないということです。
幼保連携型認定子ども園保育がスタートしても同じことが起こるのではないかと危惧しています。つまり、制度を作って現場に投げっぱなし、やりっぱなしになるのではないかということです。
定期的な制度の見直しを行う規定を、「保育要領」にぜひ含めてほしいと思います。
色々話を聞くにつれ、幼保一体というのは不可能なんじゃないかと思うようになってきました。幼稚園に対するニーズ、保育園に対するニーズが根本的に異なっているからです。この幼稚園について言えば、短時間保育と長時間保育の保護者間での対立も生まれてきているようです。この対立を解消するためには、幼稚園の職員の意識改革が重要だと思います。