育休中の上の子の退園・家庭保育について   

育休中の上の子の退園・家庭保育について

保育園に在園中に下の子の育休中に転職したり、次の子どもの妊娠・産休の期間が近かったりすると、上の子が保育園を退園になることがあることを、ご存じですか?自治体によって対応が異なることもあり、保育園児を持つ親の間でもあまり知られてしません。退園にならなくても、利用時間の制限や、家庭での保育を促されるなども多いようです。コロナ禍の利用と併せて、会員が現状を語ります。
(親の会のメーリングリストたくさんのやり取りがありましたが、一部編集し、2021年5月時点収録します)

育休中の上の子の退園・家庭保育利用について

普光院です。今朝の東京新聞に、「育休中の転職 上の子の保育園は?」と題して、育休中に転職したら「下の子の育休中の上の子の在園」の資格がなくなったとみなされ、上の子が退園になった新宿区の方の記事が載っています。

私のコメントもあります。
「会社をやめて無職になっても求職中か就労内定中なら保育の必要性を認め、在園を認めるべきだと思います。保育の必要性を狭くとらえようとする自治体もありますが、子育て支援、少子化対策という視点から考えると、そういう細かいところでケチケチしてもよい効果はない」

実は、保育園を考える親の会にも、1人目の入園が内定している方から、第1子入園後1年以内に第2子の産休に入る場合には第1子は退園になると言われたという相談がありました。
入園後、何カ月か就労しても、その後の産休で退園になるというのは、釈然としません。
「入園してすぐに産休なんてずるい」という意見もあるのでしょうけれど、きょうだいの年齢の近い子育てはたいへんなのだから、それだけでも保育の必要性を認めてよいくらいだと思います。

不公平というなら、利用したい人全員が利用できる受け皿を用意すべきなのであって、こんなところでケチケチ「追い出し」しても待機児童対策にはならないし、せっかく園に慣れた上の子を不安定にするやり方は不合理だと思います。感情的には、妊娠や転職など、親が心身ともにたいへんな思いをする時期に、こういう仕打ち(相談ではもっといろいろつらいお話も聞きます)をする役所の窓口が許せません。みなさんはどう思われるでしょうか。また、このようなこと(育休中の妊娠・転職などで退園)がほかにもあるのか、もしもご存知でしたら、教えてください。

台東区の場合:里帰り出産時は注意

普光院さま、いつもありがとうございます。新宿区はまだそうなんですね。私がいる台東区では、現在は第2子、3子の育休中に、第1子が小規模保育園から転園する場合など、点数が下がらず、通常通りの点数計算になり、第1子が5歳児まである保育園に在園している場合も退園にならなくなりました。

ただ、3カ月連続で休むと退園になるので、第2子以降、里帰り出産する場合は要注意と言われていました。

府中市の場合:条件はよくなっているものの…

普光院様、皆様、お世話になっております。府中市のIです。
私の住んでいる府中市では、もともと

・下の子(育休の対象になっている子)が1歳になった年の4月末までに復職しないと上の子が退園になる(ただし上の子が5歳児クラスに在籍中を除く)

という運用のされ方で、下の子が4月生まれの場合のみ0歳クラス復職が必須、5月以降生まれであれば1歳児クラス以降復職で良いというルールでしたが、昨年度から少し条件が緩和され、上の子が3歳クラス以上に在籍している場合は退園しなくても良くなりました。
(それでも2歳クラスまでは、下の子が1歳になった年の4月末までに復職しなければなりません)

また、里帰り出産の条件も同時期に緩和され、以前は
・2カ月以上登園しない場合は退園。里帰り出産も含む。

が、里帰り出産の場合は子どもの出産月+出産前後2カ月ずつは登園しなくても大丈夫なことになりました。少しずつ市民に優しくはなってきている印象ですが、先日、立て続けに引っ越しをした&引っ越し予定の友人から愚痴をこぼされました。

ケース1
3人きょうだいで3人目育休中。
上2人が別園かつ引っ越しで1人の園がかなり遠くなってしまったため、転園したい。しかし、産休中の転園は条件がないが、育休に入ってしまうと、転園した場合は末っ子の育休を切り上げて復職しなければならない。

ケース2
2人きょうだいで2人目育休中。
上の子は認証保育園。近く他の自治体への引っ越しを検討しているため、上の子の転園をしたい旨伝えたところ、認可→認可への転園は可能だが、認証→認可への転園の場合は下の子の育休を切り上げなければならない。

特にケース2の場合は、認可に落ちて認証に入ったケースも多いことが予想されるだけに、認可を落としておいてさらにこの仕打ち!?と腹立たしい思いです。ケース1も、幼稚園であれば(空きさえあれば)自由に転園はできるのではないかと思うのですが、たまたま入っていたのが保育園だったからということで、本来しなくてもいい負担をしなければいけないということ、疑問を感じます。

また、府中市の場合は、育休から復帰した場合に、市に復職届を提出するのですが、こちらは育休前に働いていた会社のものでなければ退園・入所取り消しとなります。ですので、育休中に転職が決まった友人は、形だけ前の職場に復職し、復職届を書いてもらってから新しい職場に移るということをしていたようです。

特に3歳以上の子どもであれば、幼稚園に通っている子も多いと思いますし、保育・教育の連続性という意味でも自治体から退園するようにと言われることについてなんとかならないかなという思いです。以上、簡単ですが、府中市の状況です。

記事みつけました!

おはようございます。H@新宿区です。普光院さんの紹介していた記事、気になって検索したら、以下ヒットしました。

2021年3月23日(東京新聞)
23区で対応がバラバラ!?「育休中に転職したら、上の子が認可園を退園させられた…」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/93192

新宿区在住として、本当に情けないです。毎度思うのですが、私が今まで接した新宿区行政どこも子ども中心に考える視点が皆無です。文京区の

> 区の担当者は「子どもの環境が激変しないようにするため」

とおっしゃっていますが、その姿勢をほんの少しでも見習ってくれたら良いのに…とため息です。

育休中の極端な時短利用について

普光院さま、みなさま、いつもありがとうございます。東京、中央区のTと申します。育休や転職においても、保育の継続は重要としており、退園事例は聞いたことがないです。似た問題として、下の子の産休育休中にコロナを理由に極端な時短利用を強制的に要求する区立園に困っています。これから担当課や園と話し合う予定なのですが、こうしたことを聞いたり、問題だと思っている方はいますか?

多胎児の2歳など、とても産前産後の母親ひとりでは見られないと思う家庭に3時半に迎えに来るように厳しく言うなどは、大きな問題だと思っています。

育休中ですが、時短と退園の話をされて

普光院さま、皆様。はじめまして、いつも勉強させて頂いています。千葉県柏市のUです。ちょうど産休育休中の身です。柏市の公立保育園に上の子が入所中です。T様が記入されていた時短を要求されていました。今も継続です。

これは市に確認したところ園独自で決め、メールにて配信していたことがわかりました。こちらも育休中で預けることに、無言の圧力といいますか、肩身が狭く、要求に応じるしかありませんでした。

また通わせている園が家から遠いためか、市でも園でも遠回しに退園の話をされました。登園しぶりがあると、お母さんがお家いるってわかっているんだと思います、と毎回話されます。
家事や赤ちゃんのお世話に上の子のお世話、数時間でもいいから保育してもらいたい。しんどい話しをしても、お母さんがお家にいるなら家庭保育することが望ましいと言われてしまい産後は気持ちが不安定となってしまい、しばらく家庭保育していました。

保育をお願いしないで子どもと毎日付きっきりで過ごすのも、申し訳なく思いながら保育園に預けるのもどちらも過酷だな、わが家には2人も子どもが産まれてくれましたが、また子どもを産みたいとは、とてもじゃないけど思えない時代だなと痛感しております。核家族な現代で他の大人達と一緒に子どもを育ててききたいと考え保育園に通わせていますが、難しいですね。話がまとまっておらず申し訳ありません。保育園が、少しでもスタッフにも通う側にも良い方向に向かっていけるよう考えていきたいです。

「保育を必要とする事由」は利用者本位であるべき

板橋区で保育園の園長をしていますYです。育休中に限った話ではありませんが、行政や施設が「教育・保育給付認定」における「保育を必要とする事由」を絶対視するケースを相変わらず耳にします。

認定の手続きは一定の型どおりに進めざるを得ないとは思いますが、「保育を必要とする事由」は一定に続くものでもなければ、家庭の状況などにより異なったり変わったりするものと考えます。

日常的な「保育を必要とする」は利用者(児童と保護者)本位の概念であるべきで、利用者に対して後ろめたさや申し訳なさを感じさせるようなことは社会福祉の正しい姿ではないだろうと思いますし、少なくとも役所や保育園が一方的に「あなたには必要がない」と決めてしまうようなことではないと思います。

育休中にお願いして預けていましたが心苦しく

こんにちは。相模原市のIです。ちょうど1回目の緊急事態宣言明けから産休育休でした。私は緊急事態宣言中に働いていたので預けられましたが、 ママ友は産前休まっただなかで、家庭保育を、と言われていました。どうにか午前中だけ預かってもらって、1週間で里帰りとなったようです。

私は緊急事態宣言明けすぐに産前休に入ったものの、やはり家庭保育を促されました。切迫気味だったのもあり、パパの出勤時間から16時までをお願いして預かってもらいました。2回目の緊急事態宣言では、市から家庭保育の促しは強くはなく(家庭でみられる方は協力を、程度)、園からも強く言われることはなかったですが、保育士さんによっては、おうちにいるならみられませんか?と言われることはありました。

みられないことはないのですが、精神的にもまだきつい状態で(産後メンタルもようやく回復してきましたが)、そう言われてしまうと保育園にお願いするのもなんとなく心苦しかったり、預けているのはよくないことなのか(子どものためには家庭保育の方がいいのか)と悩んだり、苦しかったです。

コロナや育休産休とは関係ないですが、ママ友が利用している他の園では、親のシフトを提出させる園があり、親が休みのときは登園できないようにしています。そのママ友の家庭は、パパママ共にシフト制のため、日曜はママが職場に頼み固定休み、他6日のうち3日休み(父2日、母1日、ほぼ被らない)なため、子どもは週3日ほどしか保育園に通えず(しかも不規則)、さらにパパママは仕事休みの日はワンオペのため、疲弊してしまっています。コロナ禍の育休産休への扱いにしろ、シフト提出にしろ、本来の保育園のあり方として疑問を感じています。

Yさんのお話にあるように、保育を必要とする事由を絶対視するケースや、認定の可否を決める立場にない保育園が、保護者に対して利用を控えるような促しを行う理由がわかりません。確かに、家庭保育の促しも必要かと思いますが、上記のようなやり方は、家庭保育の促しというよりは、保育園での保育の放棄にみえてしまい、昨今の保育園に求められる役割と逆行しているようにも感じます。

考えがまとまってない状態ですみません。もう少し保護者と保育園が同じ方向を向いて子どもの養育に向かえるといいのになぁと感じています。

まとめ

みなさま
普光院です。たくさんのご意見と情報をありがとうございました!

1)下の子の育休中の上の子の在園が転職や妊娠で不可とされることについて
育休中の上の子も「必要があれば」保育の必要性が認められることが内閣府令で規定されていて、多くの自治体で下の子の育休明けまでなどの条件で在園を認められていますが、一部の自治体で転職や妊娠(1年以内に産休に入る)などを理由に退園を迫られたという話をしばしば聞くため、私から問題提起させていただきました。

こんなやり方が待機児童対策にも子育て支援にもならないことは明らかですが、加えてこういった細かい規則は保護者の目に触れないところで設けられている場合が多く、保護者としては突然の退園通知になる場合が多いことは、とても問題だと私は思っています。
東京新聞記事中の文京区の担当者の「子どもの環境が激変しないようにするため」に拍手です。

台東区、府中市の改善の情報、里帰り出産での注意喚起ありがとうございました。待機児童数も減少中ですので、条件が緩和される方向性は正しいと思います。府中市は、在園継続と転園(退園して新規入園)を区別しているのだと思いますが、保育の必要性としては継続していると考えることはできないのかな、と思いました。

2)育休中を理由に極端な時短利用を強制することについて
中央区の情報ありがとうございました。育休中は保育短時間認定(施設ごとに設定した8時間の時間帯)になるのは一般的ですが、

> 産前産後の母親ひとりでは見られないと思う家庭に3時半に迎えに来るように厳しく言う

というのはどうなんでしょう。区立はなおさら、支援を必要としている家庭の事情を汲む必要があると思います。

なお、コロナのもとで「なるべく早いお迎えを」と園が要望することについては、しかたない部分もあると思います。感染防止対策で保育士の負担は増大していますし、園内で感染が起こってしまった場合には園の責任にもなりますから、家庭が協力できる範囲で、感染リスクを減らす対策をとろうとするのは施設として当然だと思います。
ただし「家庭が協力できる範囲」というところが問題です。

> 家事や赤ちゃんのお世話に上の子のお世話、数時間でもいいから保育してもらいたい、しんどい話しをしても、お母さんがお家にいるなら家庭保育することが望ましいと言われてしまい 産後は気持ちが不安定となってしまい、しばらく家庭保育していました。

お話しのような状況では、上のお子さんにとっても、お友だちと思い切り遊べる環境が望ましいと思います。個別の家庭や保護者の状況に耳を傾けない態度でいいのでしょうか。保育を必要としている事情を聞き取る責任が市や園にはあると思います。

>みられないことはないのですが、精神的にもまだきつい状態で(産後メンタルもようやく回復してきましたが)、そう言われてしまうと保育園にお願いするのもなんとなく心苦しかったり、
預けてるのはよくないことなのか(子どものためには家庭保育の方がいいのか)と悩んだり、苦しかったです。

大家族だったり、地域の助け合いがあった時代と現代の子育てはまったく違っています。核家族できょうだいが生まれるときのピンチを、少なくとも保育士には理解してもらいたいです。

このような実情や意見を、保育園を考える親の会からももっと発信していこうと思います。