「准保育士」導入に反対する要望書

産業競争力会議雇用・人材分科会座長・座長代理・副座長・各構成員 殿
少子化担当大臣 森 まさこ 殿
厚生労働大臣 田村憲久 殿

保育園を考える親の会 代表 普光院亜紀

保育所等に子どもを預ける保護者からの要望
~「准保育士」導入ではなく潜在保育士の活用を求めます~

都市部の待機児童問題は引き続き厳しい状況が続いており、私たちは一刻も早い事態の改善を願っております。しかしながら、産業競争力会議雇用・人材分科会で検討されております「准保育士」の創設はその解決策にはならず、むしろ親が安心して子どもを預け、働ける環境を奪うことになりかねないと危惧しております。
子どもを保育所等に預けて働く親の立場から次の点を要望いたします。

1 保育士による保育を
 現在でも認可保育所には、子育て経験者等の無資格者が保育の補助として入るケースはありますが、配置基準分の先生(担任)が無資格の子育て経験者になるなどということは、親として考えられない事態です。専門性をもった保育士に保育してもらえるという安心感があるからこそ、働く親は支えられています。
人材の質は保育の質そのものであり、その質が子どもの命はもちろん、人格形成期の成長にも大きな影響を与えるものであることを、いま一度、ご考慮いただきたいと思います。無資格者が多い認可外保育施設の死亡事故の多さ、先日のベビーシッター事件等もふまえた慎重な検討が必要と考えます。

2 保育士が働き続けられる環境を
保育士不足が待機児童対策のネックになりつつあります。その一方で、現場から離れている潜在保育士が60万人以上いるといいます。さらに、これらの人々が保育士として働かない理由は、主に、仕事のたいへんさや責任の重さに見合わない低い待遇にあるということが明らかになっています。
このような状況であるにもかかわらず、「准保育士」が導入されれば、専門性をもった保育士に責任が集中し、その負担はさらに重くなります。加えて、賃金が安い「准保育士」の保育労働市場への流入によって、保育に従事する者全体の賃金水準までもが低下し、人材確保がさらに困難になるでしょう。こうして(1)担任(最低基準人員)に専門性の低い人材が導入され ること、(2)適正な人材の確保の一層の困難化という二重の打撃により、私たちの子どもが受ける保育の質が低下していくことになります。
まずは、保育士の待遇を改善することによって離職率を抑え、潜在保育士の復帰を促進し、また長期的に保育士志望者の裾野を広げることが必要だと考えます。保育に意欲をもち、子どもの心身の発達のために必要な専門知識を学んだ人材が継続して働けない状況というのは、日本の児童福祉および乳幼児教育の危機です。

3 子ども・子育て支援新制度との矛盾
 子ども・子育て支援新制度には、保育士の待遇改善策と保育の質の向上策も盛り込まれています。今回、財源不足から小さな改善にとどまるようですが、もしも、保育所や認定こども園の配置基準に「准保育士」が導入されるようなことがあれば、長い議論を経て決定された新制度のこれらの改善策は水泡に帰すことになります。
乳幼児期の教育への投資は、国家にとって最も費用対効果が大きいという分析結果があります。国はより質の高い保育を実現し、次世代を担う子どもたちを豊かに育むことをめざしていただきたいと思います。

[メーリングリストでの親の声からのピックアップ]
○労働条件が悪すぎて、保育士の資格をもっている従兄弟は、子育て中は「別の仕事」をするそうです。すごくおかしいと思います。質を落とさずに量をふやしてほしいです。
○ぜひとも保育士の待遇を厚くしていただきたいです。最終的に子どもたちを守るのは、きれいな施設や広い園庭ではなく、保育士の志だと思っております。その志が折れないよう、保育士の皆様の待遇をよくしていただきたいです!
○潜在保育士の掘り起こしを求めることに、賛成します。昨日のベビーシッターの事件もあったことですし、危うさを禁じ得ません。
○保育園に毎日お世話になっている身として、准保育士導入を危惧する意見に激しく同意します!今しなければならないのは、より低い待遇となることが予測される准保育士資格の創設ではなく、労働条件の改善によって潜在保育士を現場に呼び戻すことではないでしょうか。
○私もちょっとまずいのでは、と思っています。保育士さんの労働環境を守る(本当は向上させたい)ことが、何よりよい保育につながると思います。
○保育士というのはとても専門知識や、体力、精神力が求められるものなのに、なぜ待遇が低いのか?不思議でなりません。介護士さんも同様ですが、従来女性の担ってきた仕事に対して、専門性を認めず、主婦がやってきたことなんだからそれを代わりにやるなら大したことないと、仕事内容を一段下に見ているように思えてなりません。
○保育園における保育の専門性と一般家庭における育児経験は別物と言って良いほど異なるものだということが理解されていません。保育園の方針に基づいて他の職員と密に連携して、意識の共有化を図らなければならない場において、「個人的な育児経験」というものは多少参考となる程度でしかありません。准保育士が創設されることにより、「育児経験があれば問題ない」との間違ったお墨付きが得られてしまうことを大いに懸念します。(保育者でもある親)
○女性の社会進出が進むことは経済や子育て環境の改善に繋がると思いますが、質低下を招いて事故を増やすようなことは、仮に経済が一時的に良くなっても、将来を担う子ども達に悪影響を及ぼします。子ども達が拒否する権利を持たない以上、我々大人が責任を持って考える必要があるでしょう。自分達が何を本当に求めているのかを。
○「先生たちの志が折れないように」、本当に共感します。乳児クラスでお世話になった先生を子どもは覚えてないけれど、育児を始めたばかりの私自身の先生でもあったな、と思い出します。

以上

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