国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律(平成29 年法律第 71 号)により、国家戦略特区内におい て、小規模保育事業の入園対象年齢を0~5歳に拡大する特例措置を設ける こととされたことについて、パブリックコメントの募集に応じました。2017年9月12日提出。
小規模保育事業の入園対象年齢を0~5歳に拡大する特例措置を設けることについてのパブリックコメント
保育を利用する保護者の立場から、次のとおり意見を申し上げます。
1 特例措置は矛盾するものであり短期間の時限措置とすべき
今回の特例措置については、以下のような矛盾があります。せめて、時限的なものとしていただきたいと思います。
1)小規模保育は、0・1・2歳児の保育の不足を補うために、簡易に迅速に設置できる形で制度が設けられたものであり、現在でも待機児童の大半は3歳未満児であることから、そのための枠を幼児に振り向けてしまうことは、待機児童対策としても不合理である。
2)待機児童に努力している地域では、すでに3・4・5歳児に空きが出始めている。
3)現行制度でも、3歳以降にやむなく残ることができる特例給付の制度があり、改めて特例措置を設ける意味がない。
4)子どもの健やかな発達の観点からは、3歳以上はできるだけ戸外遊びを容易に安全にできる環境や、集団での遊びを通して社会性を育まれることが求められるため、3歳以上を対象とすることは小規模保育事業の制度の趣旨や現状に合わない。ちなみに、就学前までの枠をもつ東京都の認証保育所でも、幼児になると保護者の選択により保育所や幼稚園等に転園をしており、幼児が1〜2人残される場合があることに留意されたい。
2 配置基準・保育環境に関する要望
保育士の配置基準や保育環境について、次のことを要望します。
1)乳児、1・2歳児の保育士配置基準は年齢ごとに独立して守られるようにする必要がある。3歳児20対1、4・5歳児30対1と合算されてしまうと、子どもが必要とする質は確保されない。ちなみに、有名な社会実験ペリー・プリスクールの3・4歳児の教師の配置基準は5〜6対1(教育時間2時間半)だったことに留意されたい。
2)安全上および発達上、乳児と幼児の保育室は分離しなければならない。これを基準化することが必要である。