「お母さん、こうやって目を見て話すといいですよ」

 

息子が1歳半の頃のこと。いつものように園に夕方お迎えに行き、先生から息子を受け取った後です。玄関を出てさあ帰ろう!という時に、息子はそのまま園庭にダッシュ。夢中で遊び始めてしまいました。困ったな〜と思いつつ、私は何度も大きな声で「帰るよ〜!」と呼びかけ。でも、聞こえているのかいないのか…仕方ないなと思っていたところ、園庭にいた保育士の先生が上の言葉をかけてくださいました。

 先生は、私のように遠くから呼びかけるのではなく、子どもの傍まで行き両肩に手を置いて目と目を合わせ、「○○ちゃん、もう帰る時間だよ。ママと一緒に帰ろうね!」と語りかけました。「わかったひと!」と聞かれると、一度で「あいっ!」と元気にお返事。素直に帰る気になってくれました。

 今思えば、あの頃の私は一歳半の息子をまだまだ赤ちゃんの延長のように思い、「教え導く」ということを積極的にしていませんでした。また、日々成長する息子を前に、どう教えたら伝わるのかということまで考えが及んでいませんでした。

 目の前で教え方を見せてもらうことで、具体的なやり方が分かったことはもちろん、「伝わるように伝える」大切さを実感。そして、親(大人)が子どもを教え導くのだ、という自覚がこの時にはっきり芽生えたような気がしています。